関西の中でもとりわけ大阪では「全国の特産物の集散地」として卸売業が発展
した。現在でも卸売業の業種別販売額の全国シェアで見ると「繊維品」が4割
をこえ、東京都区部の3倍近くに達する。その他「化学製品」、「衣料・身の
回り品」などが全国平均をはるかに上回っている。また、京都室町の西陣織や、
友禅染などの着物、神戸市の真珠など全国的に圧倒的なシェアを持つ、卸、仲
買人組織も存在している。
大阪の卸売業は、1991年の統計では、商店数52,253店、従業者数618,000人、
年間販売額86兆6,700億円となっている。そして、関西の卸売業全体の数は
101,585店、従業員数は104万1千人、年間販売額は115兆8,980億円となってい
る。
1960年代後半ごろから、都心部の交通渋滞や倉庫難などの物流対策や同業者の
集団化による経営の効率化を目指して、都市部周辺に卸団地が形成された。わ
が国で最も規模の大きい卸団地である大阪府箕面市の大阪船場繊維卸商団地
(コム・アート・ヒル)をはじめ、繊維、機械、紙文具、食品、中古自動車、
玩具、鉄鋼など種々の業種の卸団地が立地した。
新しい卸売形態としては、大阪府南部に国内でも最大級の取り引き規模と最新
の機能を持つ大阪泉大津花き地方卸売市場(泉大津フラワーセンター)がある。
大阪の既存の市場を整理、統合したもので、地上4階建、延べ床面積約
20,000m2の広さをもつ。全国の生産地とオンラインシステムで結び、花の生産
量や品質、出荷状況をいち早く提供するほか、オランダをはじめとする海外か
らの輸入生花も扱っている。さらに大阪鶴見花き地方卸売市場が1994年、「鶴
見はなぽ〜とブロッサム」内に設けられた。
輸入品卸売業も新しい形態が生まれてきている。六甲アイランドにあるプライ
スクラブは、保税倉庫を活用した輸入日用雑貨店で、主として食品、酒類、日
用雑貨品類などを扱っている。これはアメリカの倉庫販売卸売り会社であるプ
ライスクラブの流通コストカットの考え方を取り入れて開設したもので、港湾
関連地区にあるため、倉庫に付随して輸入品を常設展示場で販売している。