家電・電子産業

関西の電気機械器具製造業(重電も含む)の出荷額は9.3兆円、従業者数は 28.1万人(いずれも1991年)に達し、製造業の中で最大規模となっている。 関西には、家電の「3大メーカー」である松下電器(National/Panasonic)、 サンヨー、シャープが大阪府下に本社を置いている。松下電器は、1910年代に、 零細な町工場から出発し、電灯の二叉用差し込みプラグや、自転車の発電ラン プといった実用的な商品をきっかけにして電器メーカーとして出発した。 三洋電機は1949年に創業し効率的な生産方式でアイデア溢れた製品をことごと くヒットさせ、さらにその後販路を海外に拡げ成功をおさめた。シャープの社 名は1915年に発売した繰り出し式シャープペンシルに由来しているが、発売当 初欧米で人気が出た。その後、電卓、ラジオなど独自商品の開発に成功したこ とで知られている。
日本経済の成長に伴って、所得倍増計画のもと家電製品は急激に普及した。 1950年代の「3種の神器」と言われた白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫、そして60 年代の「3C」のクーラー、カラーテレビ、カーのうち前二者は、いずれもこ れらのメーカーが製造してきた。このように関西を起点に発展成長を遂げた 「3大メーカー」は、世界のブランドとして、いまではその製造拠点を国内の みならず、世界各地に展開している。
そして、1985年以降の急激な円高に対応するため、海外へ生産拠点を移す一方、 逆輸入を増やしており、カラーテレビは93年に輸入超過に転じた。家庭用VTR も、国内生産のピークは89年で、それ以降はアジア各国からの輸入が急増して いる。
電子産業の分野では、パソコン、携帯電話、さらにこれらの製品に使われる半 導体や液晶素材など、電子部品の需要も好調に拡大している。関西の生産シェ アは、1993年現在、液晶素子で60.8%、シリコンダイオードで57.6%に及んで いる。
ファインセラミックスの専業メーカーとして京都で創業した京セラは、産業界 に独自に開発した材料や製品を供給するとともに、またその基盤技術をもとに 多角化を図っている。特に通信事業においては素材、部品から完成品、システ ムまで一貫して手掛ける垂直統合を実現し、携帯電話、PHS等関連機器の供給 を行い、通信新時代に向けて世界から注目を集めている。
住友電工は、創業以来電気の安定供給に不可欠な電線・ケーブルの技術開発に 取り組んできた素材メーカーである。高度情報化社会の進展に伴って、オプト エレクトロニクス分野にも独創的な製品を開発・供給している。特に情報を敏 速確実に伝達する光ファイバーとその関連デバイス、そしてそれらを統合した 光通信システムを供給し、国内外から高い評価を得ている。
京都市の玩具メーカー、任天堂は1983年、家庭で楽しめるテレビゲーム機、フ ァミリーコンピュータを開発した。90年から発売したスーパーファミコンと 合わせて世界27か国で9,800万台を売る大ヒットとなった。大阪のメーカー、 カプコンを含めると、関西全体で電子応用玩具のシェアは全国の66%に及んで いる。
FA用センサメーカーのキーエンスは、独自の技術開発力と強い販売力によって 急成長してきた若い企業である。充電センサ、近接センサ、レーザ変位計など 各種FAセンサ製品を提供している。