百貨店、スーパーマーケット

関西の百貨店の年間販売額は、93年現在、2兆3762億円。
百貨店業界の6大グループのうち高島屋、大丸、そごうの3社は、大阪、京都な ど関西を発祥の地としている。いずれも18、19世紀に、京都を主要な生産地と していた着物の販売を行う呉服店として創業し明治時代から大正時代にかけて、 市場の進展に歩調を合わせて、日本で初めての総合的な小売業態として成長し てきた。
阪急電鉄の小林一三は、鉄道の集客力をそのまま小売業と結び付けるという画 期的なアイデアで、1925年梅田駅に阪急百貨店の前身、阪急マーケットをオー プンし、大成功をおさめた。その後、このターミナル・デパートの形態は、全 国に波及することになった。
1960年代の高度成長期以降、百貨店業界は、競って売場面積を広げるとともに、 全国各地へ、さらに東南アジアや、パリなど日本人買物客の多い欧米の都市に 新店舗を出店し、量的拡大で競争を行ってきた。1974年にスーパーマーケット の台頭で一時的に小売業界トップの地位を奪われたが、最近では、百貨店業界 も市場動向に沿ったファッション性の高い商品や、経済動向にあわせた低価格 商品を開発し、独自に開発したプライベート・ブランド商品等も揃え、再び消 費者を引きつける巻き返し戦略を展開している。
関西のスーパーマーケットの年間販売額は、93年現在、2兆2633億円。 この四半世紀のスーパーの成長は目覚ましく、かつては小売業界に君臨してい
た百貨店を凌駕する勢いである。1960年前後に出現したスーパーマーケットは、 それまでの複雑な流通経路をカットし流通コストを低減した。また、大量仕入、 セルフサービス方式等による人件費の削減等の徹底した、効率経営による低価 格化の実現をはかり、第1次流通革命を起こした。
神戸市に本社のあるダイエーは、1957年に大阪市に1号店を開店し、食品、雑 貨、家庭用医薬品の販売から始めて、店舗は現在全国に350以上、このうち103 店が関西にある。売上高も全国で2兆5000億を超え、わが国最大手のスーパー マーケットである。衣料を主力とする大阪市のニチイ、イズミヤなど全国展開 を図る関西系のスーパーマーケットが、次々と後に続いた。
生産者と消費者を直接結んで共同購入、共同販売を旗印に各地に生まれた生活 協同組合も、今では小売店舗をも展開している。神戸には、国内最大の組織、 コープ神戸があり、同じく神戸に本拠を置くスーパーマーケット、ダイエーと 熾烈な販売競争を展開している。
百貨店、スーパー、生協などの大規模商業資本・組織は、アジアNIESやア セアン諸国など経済成長が著しい国へ、良質の原材料産地や生産基地を求める 一方、現地の実情に合った新商品の開発をも推し進めている。