アジア太平洋経済協力閣僚会議
1995年11月16日−17日、大阪
共同声明
(仮 訳)


  1. オーストラリア、ブルネイ・ダルサラーム、カナダ、チリ、中華人民共和国、香港、インドネシア、日本、大韓民国、マレイシア、メキシコ、ニュー・ジーランド、パプア・ニューギニア、フィリピン共和国、シンガポール、チャイニーズ・タイペイ、タイ及びアメリカ合衆国の閣僚は、1995年11月16日及び17日に日本の大阪で開催された第7回アジア太平洋経済協力(APEC)閣僚会議に参加した。APEC事務局員も出席した。ASEAN事務局、太平洋経済協力委員会(PECC)及び南太平洋フォーラム(SPF)は、オブザーバーとして出席した。
  2. 会議は、日本の橋本龍太郎副総理兼通商産業大臣及び河野洋平外務大臣が共同で議長を務めた。
  3. 橋本大臣は、その冒頭発言の中で、アジア太平洋の協力は、この地域のメンバーの内発的なイニシアティブ及びAPECの共同行動が、最大限の影響を持ち、具体的な成果を達成することを可能とする枠組みを必要とする旨述べた。さらに、同大臣は、この会議が、APECのビジョン及び目標を達成するための行動の新たな段階へAPECが乗り出したことを示しており、将来のAPECを方向付ける最初の重要な一歩となろう旨述べた。
  4. インドネシアのハルタルト工業・商業担当調整大臣は、第6回APEC閣僚会議の議長として発言し、ボゴール宣言によって委任された詳細な提案の作成の促進における日本のリーダーシップに対し感謝の意を表明した。この点に関し、同大臣は、「行動指針」が、APECのプロセスの3つの主要な柱、すなわち、それぞれ等しく重要でかつ密接に結びついた自由化、円滑化及び開発協力を反映していることにつき満足の意をもって留意した。同大臣は、また、「前進のためのパートナー」と題する日本の提案を歓迎した。それは、貿易及び投資の自由化を支援する一方で、APECメンバー間の経済格差を縮小する上で重要な措置である。最後に、同大臣は、強さと可能性を組み合わせ、合理的に区別された時間的枠組みが採用されたことにより、APECが、長期的には、現在複雑に思われる困難も含めあらゆる困難を克服できる旨述べた。

    (1). 行動指針
  5. 閣僚は、昨年ボゴールで経済首脳が行った決定に応え、本年のAPECの活動が、ボゴール宣言の目標を達成するため行動指針の策定に重点を置いたことを認識した。また、この新たな重点のため、APECのすべてのフォーラムにおける集中的かつ広範な討議を必要とした。
  6. 閣僚は、高級実務者が準備し、APECの関連フォーラムの貢献を盛り込んだ行動指針案について討議した。閣僚は、行動指針案が、ボゴールにおいて経済首脳が定めた目標の達成に向けた各メンバーの自主的コミットメント及び政治的決意を反映していることにつき意見の一致をみた。さらに、閣僚は、APECの協力の将来の道筋を描く長期的な枠組みを提供するという点で、行動指針が戦略的な意義を有しており、これがこの地域における加速され、均衡がとれ、衡平な経済成長の見通しを強めることとなることを強調した。
  7. 閣僚は、行動指針がその第一部を構成する貿易及び投資の自由化並びに貿易及び投資の円滑化、並びにその第二部で取り扱われている経済・技術協力から成ることを認識した。閣僚は、これらの分野がAPECの活動の3つの柱を形成すること、及び3つの柱が相互補完的であり、かつ等しく重要であることを強調した。閣僚は、これら3つの柱の下の活動を重点的かつ統合された形で実施することにより、この地域の経済的福利が最大化されるとの信念を再確認した。閣僚は、行動指針が、その実施の継続的過程の間の更なる検討により、必要に応じて改訂及び改善され得ることに留意した。
  8. 閣僚は、行動指針の第一部が一般原則、自由化及び円滑化のための枠組み並びに個別分野の行動を含むことに留意した。閣僚は、討議を行い、以下の一般原則につき意見の一致をみた。それは、包括性、WTO整合性、同等性、無差別、透明性、スタンドスティル、同時開始、継続的過程及び異なるタイムテーブル、柔軟性、並びに協力である。
  9. 閣僚は、APECにおける貿易及び投資の自由化及び円滑化のためのアプローチが独特のものであり、それが経済改革及び自由化に向けたこの地域の際立った動向の上に築かれており、また、多数国間レベルにおける一層の自由化に対する強力な弾みとなることを強調した。このアプローチは、協調的自主的行動、共同行動及び多角的行動の組合せから成る。閣僚は、フィリピン共和国における1996年のAPEC閣僚会議に、それぞれの行動計画を提出するとの各メンバーの決意を確認した。これら行動計画は、自由で開かれた貿易及び投資というAPECの長期的目標を実現するため、行動指針の一般原則及び枠組みに従い策定される。行動計画は、関税、非関税措置、サービス、投資、基準及び適合性、税関手続、知的所有権、競争政策、政府調達、規制緩和、原産地規則、紛争仲介、ビジネス関係者の移動、ウルグァイ・ラウンドの成果の実施並びに情報収集及び分析といった個別の行動の15分野それぞれにつき定めた目標の達成に向けてとられる措置から成る。
  10. 閣僚は、アジア太平洋地域における持続可能な成長及び衡平な開発を達成するため、経済・技術協力を一層推進する必要性を強調した。経済・技術協力は、APECメンバー間の経済格差を縮小させ、この地域の国民の経済的・社会的福利を改善し、貿易及び投資の自由化及び円滑化の過程に寄与し、持続可能な開発の達成に資する。閣僚は、APECの経済・技術協力が共通政策理念の構築、共同行動の実施及び政策対話への関与という3つの本質的要素に基づくことを再確認した。経済・技術協力活動は、人材養成、産業技術、中小企業、経済インフラストラクチャー、エネルギー、運輸、電気通信及び情報、観光、貿易及び投資のデータ、貿易促進、海洋資源保全、漁業、並びに農業技術といった個別の分野で行われる。これらの活動の進捗全体について、毎年レビューが行われる。
  11. 閣僚は、APECの枠内での経済・技術協力を一層効率的に促進するため、相互支援及び自主性に基づく新たなメカニズムとして、「前進のためのパートナー(PFP)」を導入し、活用することにつき意見の一致をみた。閣僚は、また、PFPが経済・技術協力のあらゆる面に取り組み、貿易及び投資の自由化及び円滑化を直接支援する協力に特に重点が置かれていることに留意した。
  12. 閣僚は、APECの各種フォーラムが、本年、行動指針案の作成に対する貢献に重点的に取り組んだことを認識し、関係大臣会合からの提案を評価し、また、経済委員会(EC)、貿易投資委員会(CTI)、作業部会、政策担当者会合及び専門家会合を含むその他のAPECのフォーラムの重要な貢献に対して満足の意を表明した。閣僚は、特に、貿易投資委員会が策定した貿易及び投資の自由化及び円滑化に関する詳細な計画を歓迎した。また、大臣会合、作業部会等の関連フォーラムが行動指針と不可分な一部を成す行動プログラムを準備したことが留意された。
  13. 閣僚は、賢人会議が提出した第三報告を、APECの協力を進展させ、行動指針を策定するための重要な参考資料として歓迎した。この報告には、ブレーク島及びボゴールにおける経済首脳会議において示されたAPECのビジョンの実施に関する提言が含まれている。
  14. 閣僚は、太平洋ビジネス・フォーラムの第二報告を歓迎し、そのビジネス/民間部門の視点からのボゴール宣言の実施に関する提言が、行動指針を策定する過程において重要な意義を有したことに留意した。閣僚は、また、太平洋経済協力会議 (PECC)、太平洋経済委員会(PBEC)、アジア太平洋ビジネス・ネット ワーク(APBネット)等のビジネス/民間部門の代表が出席した各種地域会合が行動指針の策定に対し貢献すべく多大の努力を行ったことに満足の意をもって留意した。
  15. 閣僚は、経済首脳に対し、その検討及び採択のために、行動指針案を提案することにつき意見の一致をみた。

    (2). APECの活動の進展 経済問題及び見通し
  16. 閣僚は、経済委員会の最初の一年間の活動を検討し1996年の行動プログラムを詳述した同委員会の報告を歓迎した。閣僚は、経済動向の分析及び個別の経済問題、特に分野横断的な問題の研究を行うAPECの能力の向上において同委員会が果たす役割並びにその他のAPECフォーラムで進行中の政策活動を支援するこの作業の重要性を強調した。
  17. 閣僚は、この地域の中期的な課題及び一般的に好ましい見通しに焦点を当てた 「APEC地域経済に関する1995年報告−動向、構造、見通し、課題」と題する経済見通しに関する報告書の準備を行うに当たり日本が指導的役割を担ったことに対し感謝の意を表明した。閣僚は、また、この地域の急速な経済成長をもたらす上で投資が果たしている重要な役割について明確な構図を提示している「海外直接投資及びAPECの経済の統合」と題するカナダの報告書につき、同国を賞賛した。閣僚は、1996年の経済委員会の作業計画を承認した。 貿易及び投資の諸問題
  18. 閣僚は、1995年の閣僚に対する貿易投資委員会年次報告を歓迎し、同委員会が域内の貿易及び投資の自由化及び円滑化の過程に実質的な貢献を行ったことに感謝の意をもって留意した。ボゴールにおける経済首脳による行動の呼びかけに従い、閣僚は、また、税関手続小委員会及び基準・適合性小委員会が、それぞれの分野における具体的な成果により、貿易投資委員会の活動に多大な貢献を行ったことに留意した。さらに、閣僚は、貿易及び投資に対する域内の障壁、域内の規制緩和及び自由化へのイニシアティブ並びにメンバーの自主的な、サブ・リージョナルな及び多角的な自由化措置の一覧に関する貿易投資委員会の報告に対し感謝の意を表明した。閣僚は、貿易投資委員会及びその下部部会の活動、特に、税関・国際経済シンポジウム及び投資シンポジウムの活動と民間部門との協力の強化を評価した。
  19. 閣僚は、貿易投資委員会の1995年の作業計画では十分に取り組まれなかった問題を含め、行動指針の貿易及び投資に関連する問題に取り組む重要性を同委員会に対し示した。 APEC作業計画及びイニシアティブ
  20. 閣僚は、首脳のイニシアティブとして打ち出された各種大臣会合及び10の作業部会その他のAPECのフォーラムが、行動指針の策定に対する貢献に加え、それらの作業計画及びイニシアティブについて行った進捗を歓迎した。閣僚は、APECの作業部会の経過報告に留意した。閣僚は、作業部会その他のAPECのフォーラムが草の根レベルでビジネス/民間部門と引き続き密接に協力することを奨励した。

    a.人材養成(HRD)
  21. 閣僚は、人材養成作業部会が人材養成枠組み宣言において設定された7つの優先分野並びに貿易及び投資の自由化及び円滑化において多くの計画を策定したことに満足の意をもって留意した。閣僚は、人材養成作業部会が分野横断的な性質の問題に係る経済・技術協力を取り扱うための主要な優先順位に基づいた幅広い活動をその広範なネットワークを通じて実施したことを賞賛した。閣僚は、バンコックにおける調整事務所の設置とともに、1996年からビジネス・ボランティア計画を開始することを承認した。閣僚は、また、1996年にフィリピン共和国において人材養成担当大臣会合を開催するとの決定を歓迎した。閣僚は、APEC経済首脳の教育イニシアティブの一部であるAPEC研究センターの設立における進捗に留意し、人材養成及び教育交流活動に対する追加的な資金を引き出すAPEC教育基金の設立を歓迎した。

    b.産業技術(IST)
  22. 閣僚は、産業技術作業部会が次の優先順位に基づき産業技術協力に関する多くの新たなプロジェクトを開始し、実施したことに満足の意をもって留意した。その優先順位は、技術情報及び技術の流れの改善、研究者交流の改善、共同研究プロジェクトの円滑化、規制枠組みの透明性の改善、持続可能な開発への寄与並びに政策対話及びレビューの強化である。
  23. 閣僚は、中華人民共和国が1995年10月に北京において第1回APEC科学技術大臣会合を主催し、同会合が効果的な産業技術協力に関する一連の非拘束的な原則を採択し、一層の協力のための優先分野を特定したことに対し感謝の意を表明した。閣僚は、1996年に大韓民国において第2回大臣会合を開催するとの決定を歓迎した。閣僚は、また、1995年の大韓民国における第1回APECテクノマートの開催を歓迎した。

    c.中小企業(SMEs)
  24. 閣僚は、中小企業政策担当者によるアド・ホック会合が、人材養成、情報へのアクセス、技術及びその共有、資金の利用並びに市場アクセスという5つの優先分野に重点を置いた政策対話及び共同行動を成功裡に実施したことに満足の意をもって留意した。
  25. 閣僚は、オーストラリアが1995年9月にアデレードにおいて第2回APEC中小企業担当大臣会合を主催し、同会合が、中小企業政策担当者によるアド・ホック会合によって作成された行動プログラムを承認したことに対し感謝の意を表明するとともに、1996年にフィリピン共和国において第3回大臣会合を開催するとの決定を歓迎した。
  26. 閣僚は、APEC中小企業技術交流訓練センター(ACTET SME)の設立を促進するためのフィリピン共和国の努力を賞賛した。

    d.インフラストラクチャー
  27. 閣僚は、インフラストラクチャーの改善がAPEC経済の継続的成長にとり重要であることを強調するとともに、インフラストラクチャー関連のプロジェクトに高い優先順位を与えることを再確認した。閣僚は、インドネシアが1995年9月にジャカルタにおいて官民間の生産的な対話を主催したことに対し、感謝の意を表明した。この対話において、インフラストラクチャーの改善に対する障壁が特定され、これを克服するための提案がなされた。閣僚は、APECの活動がこの重要な分野で継続されるべきであることにつき意見の一致をみた。

    e.エネルギー
  28. 閣僚は、3つのEの同時達成に向けたエネルギー作業部会の努力及びAPECを持続可能なエネルギー共同体として発展させることに対する同作業部会の貢献を賞賛した。閣僚は、アジア太平洋エネルギー研究センターを設立するとの決定を歓迎した。閣僚は、また、エネルギー分野におけるAPECの活動に対して支援及び指針を与えるためにAPECエネルギー大臣会合を1996年にオーストラリアにおいて開催するとの提案を歓迎した。

    f.運 輸
  29. 閣僚は、アジア太平洋地域において、統合され、安全で、効率的かつ環境面からみて持続可能な運輸システムの構築及び維持に向けた運輸作業部会による進展に勇気づけられた。
  30. 閣僚は、アメリカ合衆国が1995年にワシントンD.C.においてAPEC運輸大臣会合を主催したことに対し感謝の意を表明した。閣僚は、運輸大臣が地域運輸システムの改善のための枠組みを提供する運輸部門における協力の指導原則及び優先順位を作成したことを歓迎した。

    g.電気通信
  31. 閣僚は、相互接続され、相互運用可能な情報通信インフラストラクチャーの開発に向けた電気通信作業部会による進展を評価した。閣僚は、特定された優先分野において同作業部会が進めた作業を賞賛し、電気通信をボゴール宣言実施のためのモデル部門とする目標を設定する同作業部会の意図に留意した。
  32. 閣僚は、大韓民国が1995年5月にAPEC電気通信・情報産業関係閣僚会合を主催したことに対し感謝の意を表明した。同会合は、アジア太平洋情報インフラストラクチャー(APII)強化に関する目的及び原則を設定するソウル宣言を発出した。閣僚は、1996年にオーストラリアにおいて第2回閣僚会合を開催するとの決定を歓迎した。

    h.観 光
  33. 閣僚は、観光作業部会が、以下を行うことを通じて、観光産業の長期的に環境面及び社会面で持続可能性のある分野に、その活動を集中させたことに対し満足の意を表明した。それは、観光に係る移動に対する障害を除去し、観光に関連するサービスの貿易を自由化すること、観光開発の環境面及び社会面で持続可能性の理念を実施すること、人材養成を促進すること、観光開発における民間部門の役割を強化すること、電気通信、運輸、旅客便宜供与、金融その他の観光の貿易に関連する情報に基づいたサービスにおける協力を発展させること並びに観光産業に関する情報を共有することである。

    i.貿易及び投資のデータ
  34. 閣僚は、貿易投資データベース(TIDDB)の一部としてのAPECのおおむね比較可能な商品貿易データベースの構築及び関連するシステムの開発における進捗を歓迎した。閣僚は、また、TIDDBの中に国際サービス貿易及び国際投資に関するデータベースを含めていくとの貿易投資データ作業部会の計画を賞賛した。

    j.貿易促進
  35. 閣僚は、貿易の機会及び貿易に関連する情報をAPECのビジネス・コミュニティーに提供する上での貿易促進作業部会の役割を評価した。閣僚は、物品及びサービスの貿易関連活動の促進、貿易金融、貿易に係る技能及び訓練、貿易に好ましい環境の助長のための情報の共有、ビジネス部門と貿易促進機関を含む政府機関との間の協力といった分野で同作業部会が行った作業に留意した。

    k.海洋資源保全
  36. 閣僚は、持続可能な開発に寄与し、海洋環境を保護しつつ貿易及び投資を強化し、海洋環境の保全を通じた社会経済的な利益を引き続き確保する点で、海洋資源保全作業部会の活動を評価した。閣僚は、特に、海洋有毒藻類(赤潮)、UNCEDアジェンダ21の大洋に関する章の地域的実施並びに沿岸地帯の計画及び管理の分野における同作業部会の作業に留意した。

    l.漁 業
  37. 閣僚は、漁業及び養殖漁業部門の生産基盤の管理に係る作業を前進させ、食品安全、品質保証を含む魚類及び水産品に関する製品基準についての規則及び規制の整合化を通じた、漁業部門における貿易及び投資問題に係る作業を一層推進させたことにつき漁業作業部会を賞賛した。

    m.農業技術
  38. 閣僚は、動植物の遺伝資源の交換、農業遺伝子工学、農産品の加工及びマーケティング、動植物検疫及び病害虫管理、農業金融制度の開発に関する情報の共有、並びに技術移転及び技術訓練といった農業技術における協力の優先順位の特定に留意した。
  39. 閣僚は、チャイニーズ・タイペイが第1回農業技術協力専門家会合を主催したことに対し感謝の意を表明するとともに、1996年にチリにおいて第2回専門家会合を開催するとの決定を歓迎した。

    n.金 融
  40. 閣僚は、1995年にインドネシアにおいて第2回APEC大蔵大臣会合が開催され、同会合で資金の流れ、為替レートの変動、インフラストラクチャー開発のための資金調達、及びその他の問題の中でも特に資金洗浄防止努力等の多様な問題が話し合われたことに留意した。閣僚は、1996年に日本において第3回大臣会合を開催するとの決定を歓迎した。

    o.持続可能な開発
  41. 閣僚は、持続可能な開発の確保に資する、関連するAPECの会合で進行中の活動への環境問題の統合における進捗に満足の意をもって留意した。閣僚は、1996年にフィリピン共和国において持続可能な開発に関する大臣会合を開催するとの提案を歓迎した。

     (3). 機構問題 APEC事務局
  42. 閣僚は、APECの各種委員会及び作業部会並びにAPECのプロセス全体を支援する事務局長今西正次郎大使及び事務局スタッフの優れた作業に対し感謝の意を表明した。閣僚は、行動指針の実施に関連して事務局を強化する必要性を認識し、APEC事務局の見直しのためのタスク・フォースの提言を承認し、可能な限り早期にこの提言の実施を開始するよう高級実務者に対し指示した。
  43. 閣僚は、APEC通信データベース・システム(ACDS)の進展につき満足の意を表明し、APECメンバーに対しこのシステムを完全に活用するよう要請した。閣僚は、事務局が多岐にわたる出版物の発行を行い、より広い範囲に配布する努力を強化したことに留意した。 参加問題
  44. 閣僚は、非メンバーのAPEC作業部会の活動への参加問題につき討議し、高級実務者により提出されたこの問題に関する基準及び原則に関する提案を修正の上採択した。
  45. 閣僚は、高級実務者に対し、新規参加及びオブザーバーとしての地位に関するAPECの政策につき引き続き検討を行い、1996年のAPEC閣僚会議に対し勧告を提出することを指示した。 賢人会議(EPG)
  46. 閣僚は、過去3年間に亘りAPECの活動の発展を促進するために賢人会議が行った貴重な貢献を評価し、その任務が成功裡に達成されたことを賞賛した。
  47. 閣僚は、個別の問題につき独立した有識者から随時助言及び提言を受ける意義を認識し、必要な時はいつでもこの目的のために新たなメンバーでもって賢人会議のメカニズム又は同様の助言グループを創設し得ることにつき意見の一致をみた。 APECビジネス諮問委員会の設立(ABAC)
  48. 閣僚は、政府とビジネス/民間部門との間の緊密な協力がAPECの活動の実効性を高めるに当たり極めて重要であることを再確認し、過去2年間に亘り太平洋ビジネス・フォーラムが行った貴重な貢献に対し感謝の意を表明した。
  49. 閣僚は、APECのすべての活動へのビジネス/民間部門の継続的協力及び積極的関与の重要性を認識し、1996年にAPECビジネス諮問委員会(ABAC)を設立することにつき意見の一致をみた。閣僚は、同委員会の活動を早期に開始するため、同委員会の組織、財源及び活動に関する一連のガイドラインを決定した。  閣僚は、ガイドラインが翌年見直されることに留意した。 財政問題
  50. 閣僚は、予算上の要請の詳細な検討、手続の合理化及び管理・運営上の効率の改善に係る行財政委員会(BAC)の本年の作業を賞賛した。閣僚は、同委員会により提案され、高級実務者により勧告された1996年予算案3,094,160米ドルを承認した。閣僚は、また、同委員会により提案され、高級実務者により勧告された総額2,838,000米ドルの1996年分担金案及び各メンバーの分担金の水準を承認した。

     (4). その他 第8回閣僚会議の準備
  51. 閣僚は、1996年にマニラにおいて開催される第8回APEC閣僚会議の準備に関し、フィリピン共和国が貴重な説明を行ったことに対し感謝の意を表明した。 将来のAPEC会議開催地
  52. 第9回及び第10回閣僚会議は、それぞれ1997年にカナダにおいて及び1998年にマレイシアにおいて開催される。閣僚は、ニュー・ジーランドが1999年の第11回閣僚会議を主催するとの申し出を歓迎した。
  53. 河野大臣は、その閉会の発言において、APECが、現在、行動指針の実施を通じてボゴール宣言の目的が着実に現実のものとなる新たな段階へと前進している旨述べた。同大臣は、これによりAPECがビジネス/民間部門の積極的関与を得て、組織として進化することに留意した。同大臣は、閣僚に対し、引き続きAPECプロセスに対し政治的指針を与え、この目的のために密接に連絡をとるよう要請した。
  54. 閣僚及び代表団は、彼らに対する温かく寛大なもてなし並びに今回の会議のために提供されたいきとどいた設備及び運営に関し、日本に対する心よりの感謝の意を表明した。
(了)



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